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介護(3件)
2008年4月26日
介護現場が大変
介護
§ 民主党案 ③
民主党は、介護現場の人材不足に対し、介護士一人当り2万円の賃金引き上げ法案を国会に提出するという考えをこの1月に表明した。
その詳しい資料をこの4月初めに入手した。民主党は、その骨子として以下3点あげている。
- 介護現場での人材不足は、介護職員の待遇の低さ ― 特に低賃金 ― であると認識している。
- 介護労働者の待遇改善のための緊急措置法を制定する。
- 2008年4月より、平均賃金の金額が一定以上と見込める 「 認定事業所 」 に対し、介護報酬を3%加算する介護報酬の緊急改定を行う。
具体的には以下の形で法案化するという。
<介護労働者の人材確保に関する特別措置法案>
- 賃金引き上げの目安 ( 一人当り ) 月2万円
- 認定事業所の介護報酬加算率 3%
- 認定事業所となる割合 50%(推計)
- 必要な財源規模 900億円
このような法案について、お前はどう考える? とある人から問われた。即答えたのは 《 この法案を提案した代議士は、現場のことが全く判っていないですね 》 と。
第1に、一人あたま2万円の上積みの基準があいまいである。
第2に、“ 認定基準 ” となる賃金の目安を大都市と地方とでどう考えるのか、その格差さえ明らかにされていない。
第3に、介護福祉施設の中には、特別養護老人ホーム時代の補助金で、施設開設者の個人の趣味で高額な骨董品を購入し、職員の頭数は法定人員は確保しているところが結構ある。しかるに、法定人員では手がまわらず、法定人員の1.2~1.5倍の人員を配置しているところもある。この場合、給与は、1.2~1.5倍の人員をそろえているところの方が低いかもしれない。このような現実を無視して “ 認定事業所 ”に 1人当り2万円の給与を上積みすることはバラマキ以外の何物でもない。もっと知恵を絞る必要がある。と私は答えた。あまりにも単純な素人的な方式を大きな政党が提案していることにあきれはててしまった。現場を知らないと、こんな法案が堂々とまかり通る。後期高齢者医療制度をドサクサの中で法案を強行採決し、国民が最も必要としている医療・福祉を無視している現在の与党と全く変りがない。
ちなみに、私の属している法人の介護老人福祉施設(陽光苑)の人員を法定人員と比較してみた。
調理員や事務員が法律では適当数となっているので比較しにくいが、その人員を陽光苑と同じと仮定すると、1.23倍となる。それは、法定人員のみでは現場を維持することができないからである。ちなみに介護施設の中核である医師・看護師・介護士・理学療法士・作業療法士の範囲に限ると、陽光苑は法定人員の1.27倍である。法定人員を満たすだけでは介護現場は崩壊する。それは、現場に直接関わっている者が一番よく知っている。人手が不足すると残った者への負担が多くなり、次々と辞めていくという悪循環に陥 ( おちい ) ってしまう。 《 きつい、汚い、危険な 》 職場であるから。
このような視点で法律や法律案を考えてもらいたいものである。
表 : 100床当りの介護老人保健施設の法定人員基準と現実
法定人員 陽光苑職員数
(100床当り) (100床)
管理者 1 1
医師 1 1.25
薬剤師 0.3 0.3
看護師 9 10
介護士 25 33.8
支援相談員 1 2
介護支援専門員 1 1
理学療法士又は
作業療法士 1.8 2
栄養士 1 1
調理員 適当数(α) 5.5
事務員 適当数(α) 2.4
計 41.1+α 60.25
この民主党案は、4月22日衆議院厚生労働委員会で審議が始まった。その中で自民党の厚生労働委員会は23日、『 介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律案 』 を対案として提出することを決めたという。
私、松本文六は、介護労働者の人材確保のためには、看護師 ・ 介護士など法定人員を越えて頑張っているところに加算をすべきだと考える。そうでないと介護の質はあがらない。介護現場には労働集約産業であるが故に多くの人員が必要である。介護士等が定着するには、介護報酬そのものを大幅に上げる必要がある。介護福祉士養成学校の定員を大幅に越すように、将来に希望を託せる職業として社会から認知される、そのような政策がとられるべきである。
2008年4月25日
介護現場が大変
介護
§ 介護の人材不足深刻 ②
日本経済新聞の2008年1月30日の記事をかいつまんで以下に紹介したい。
日本経済新聞社の調査によると、介護事業所の2割が配置すべき最低限の職員数を確保できない状況を経験しているという。
調査時期 : 2007年11~12月
調査方法 : 訪問介護や有料老人ホームなど介護関連事業を手がける694法人に調査票を送り、300法人より回答を得た。回答率 43.2%
それによると、以下のような結果であった。
- 人員の配置基準を満たせなかったことがある … 19.3%
- 現時点で未達の事業所がある … 2.1%
- 不足が目立つ職種
ホームヘルパー … 76%
ケアマネジャー … 36%
看護師 … 71%
准看護師 … 32%
介護福祉士 … 66% - 人材不足の状況
明らかに人手不足 … 57%
何とか確保は追いついている … 31%
人手は余っている … 3%
無回答 … 9%
少なくとも、標準人員を一時的に満たせなかったという事業所が2割もあったとは大変な事態と言える。現在、私の属している法人が経営している介護老人保健施設での経験からすると、標準人員では質のいい介護などは到底考えられないので、この数字には驚きとともに介護の人手不足による “ 介護崩壊 ” を危惧 ( きぐ ) せざるを得ない。
ちなみに、この調査では、人手の足りない事業所では、利用者へのサービス提供時間を減らした所が26.7%に達したという。また、他方で、《 手間のかかる重度の要介護者は避けている 》 《 新規の訪問介護を断っている地域がある 》 と、必要な人が必要なサービスを受けられなくなっている実態が浮かび上がっているという。
また、2007年度の営業損益が前期比マイナスになりそうな事業所は35.3%。その理由として 《 介護保険の報酬マイナス改定 》 が68.9%と最も多く、《 人件費の負担増 》 が53.8%と続いているという。要するに、総収益の減少に経費増が追い打ちをかけているという事態が明らかになっている。
やはり、労働集約産業といわれる医療 ・ 福祉 ・ 介護 ・ 教育 ・ 保育などにはもっともっと税を投入すべきである。道路や橋に税を投入するよりも、これらの領域に税を投入すれば、雇用が大幅に拡大し、国に入ってくる税収が増えるので、国はその方向を追求すべきだと私は考える。
証券優遇税制や累進課税を再検討する中で、この領域への財源は充分賄えるはずである。国土交通省の “ 公益法人 ” を整理することにより、12兆6000億円も浮いてくるという話が、みのもんた さんのテレビ画面が数日前、眼に入って来た。ますます、税の投入先を徹底して見直すべきであろう。
介護される状況は、富める者も貧しき者もどちらにも襲ってくることを、今の与党の政治家は全く理解していないのではないのか? 人間の痛みを感じない人間を政治の場より追放するしか、私たちの未来はないと最近特に感じる。
2008年4月24日
介護現場が大変
介護
§ 介護現場が大変 ①
介護現場が大変であることは、テレビなどを通して、すでに広く知れわたっている。しかし、具体的に何がそれ程大変なのかについての報道は少ない。
人手が確保できないことが、最大の問題である。何故人手が確保できないのか。給与が低いためである。とりわけ物価の高い東京 ・ 大阪をはじめとする6大都市レベルの地域では、介護士~介護福祉士の給与が他の職種に比べて相対的に大幅に低い。これは、介護施設の報酬は包括制であり、満額であれば年間粗収入はいくらと、年度初めに予測がつく。
その中で、3年間介護報酬は据置きであり、医療・福祉領域以外の人間を対象とするのではなく物を製造する工場などとは違い、利益を年々あげるための工夫は極めて限られている。そのため大都市部では、このような給料では結婚できないということで転職して行ったという報道がなされている。しかしながら、田舎 ・ 地方でも同じような現象が起っている。田舎では、労働がきついし、若者が少なく、男女交際の場が少なく、しかも、産科 ・ 小児科医がいないので将来不安であると県央や県庁所在地に職を求めて介護士や介護福祉士は移動する。昨年、大分県をくまなく回り、いろいろと話を聞くと、募集にも来ない、2000年頃は、田舎でも結構応募があったのに、……と。それは介護福祉士養成校が定員規模を縮小していることからも現実を反映している。
これでは、介護の社会化という大義名分の旗を立てて出発した介護保険制度も尻すぼみである。医療崩壊と同じように介護崩壊が目に見えてくる。
人のいのちや暮らしを支えるための医療や介護 ・ 福祉の領域を大事にしない国はいずれ滅ぶと私、松本文六は考えます。
何とかする必要がある。
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