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医療(4件)
2008年4月23日
見る・観る・聴く・嗅ぐ (21)
医療
§ 精神的ショックと統合失調症
ある医学ジャーナルから、最新の情報をお伝えします。
マンチェスター大学 ( 英国 マンチェスター ) の Alls. Khasham らは、妊娠初期に近親者の死など、極めて厳しいストレスを経験した妊娠の子供は統合失調症 ( 旧病名 : 精神分裂病 ) を発症しやすいという知見を明らかにした ( Archires of Generol Psychiatry 2008 ; 65 : 146~152 ) 。
それは膨大なデータを分析して得られた知見である。デンマークの 1973 ~ 95 年の 138 万件の出生データと国民登録データを用いて調査している。近親者が妊婦の妊娠中に、がん ・ 心筋梗塞 ・ 脳卒中で死亡したか、その診断を受けたか否かの調査をした。その中で生まれた子供を10才の誕生日から 2005 年 6 月 30 日まで、あるいは死亡・出国・統合失調症発症まで追跡している。
その結果、21,987 例の子供の母親が妊娠中に近親者の死に、14,206 例が近親者の重病に遭遇し、7,331 例の子供が統合失調症を発症したと述べている。
統合失調症と関連障害リスクは、妊娠初期に近親者の死に遭遇した妊娠の小児では他のグループに比べ67%高いという。そして、その他の妊娠期間と、妊娠6ヵ月以上前における近親者の死や重病は、子供の統合失調症とは相関していなかったという。
家族の死と統合失調症発症との関連は、精神疾患の家族歴 ( 親 ・ 祖父母 ・ 兄弟 ) のない場合にのみ有意であったという。
このグループは 、《 ストレスに応じて母親の脳が放出する化学物質が胎児の脳の発達に影響する可能性がある。これらの影響は、母子間の保護バリアーが充分に構築されていない妊娠初期に最も強くなるのであろう 》 と考察している。
疾病と環境は密接に関連していることは、よく知られた経験値である。 《 疾病と貧困は正比例する 》 という古くからの一節をこの論文に触れてやっぱりと想った。真実らしい調査研究である。
日本では、未 ( いま ) だにこのような研究はなされていないように思う。役所の裁量基準での研究費の配分は、頭脳を海外に流出させ続けるのではないかと私は、危惧 ( きぐ ) している。
2008年4月 1日
見る・観る・聴く・嗅ぐ (18)
医療
§ 危険な偽造医薬品と人間の心理
にせぐすりが出まわっている。健康被害の危険がある。すでによく知られている勃起不全(ED)治療薬バイアグラの“ にせぐすり ” である。にせぐすりはニセガネと同じで作った側に大きな利益をもたらすから、古今東西いつの時代にも存在する。
昔はそれが本物なのか偽物なのかを区別するのが困難でもあり、容易でもあった。しかし、現代の偽物は精巧に出まわっているので、鑑別がむつかしいらしい。500円硬貨の偽物が出まわっているらしいが、この真贋 ( しんがん ) を鑑別するにはつい最近まで顕微鏡を使っていたという。そして、最近新しい鑑別方法が発明されたという。音による鑑別で、その音の波形で数秒で判定できるらしい。
しかし、くすりの偽物の鑑別、とりわけバイアグラの類いは、使ってみないと判定できない。だから健康被害が出ることになる。
これら偽造医薬品は、日本や欧米の先進国では医薬品全体の売り上げの1%未満だが、途上国では10~30%に及んでいるという。有効成分が不十分だと治療効果が得られず、かえって病状が悪化することさえある。不純物が死を招くこともあるという。自動車の不凍液に使われる有害物質を含んだ偽造せき止めシロップは、海外で多数の死者を出したこともあるという。
あるアンケート調査によると、バイアグラその類いを購入するとすれば、インターネットを利用するという人が25.4%、どちらかといえばネットでという人が32.2%、あわせて57.6%であったという。別のアンケート調査で 《 ネットで購入したED治療薬は安全か 》 という問いに対して、いいえが37.4%で、安全と答えた人はわずか3.4%という。
にもかかわらず、ネットを通して購入したいという人は57.6%に及んでいる !! 《 人に知られたくない 》 という心理が働いているのであろう。
サプリメントの類いにはお互い気をつけましょう。
*この原稿にはマスメディアでの情報を利用させてもらいました。アンケートの数字は大分合同新聞2008年1月19日のものを使いました。
2008年3月 3日
日本の医療が危ない! (4) 資格証明書
医療
§『 資格証明書 』 とは?
国保料を滞納すると、資格証明書が交付され、医療機関を受診した場合、一旦まるまる10割現金を支払わなければなりません。
この制度が始まったのは1981年からだったが、各自治体に義務化をされたのは、2000年の介護保険開始時だったといいます。幸か不幸か、小生、松本文六は、これまでこれを持参した患者さんにまみえることはありませんでした。この2月25日に、資格証明書持参の患者さんの診療をはじめて行いました。
32才の方です。 《 おなかがパンパンに張って苦しい 》 ということで受診されました。2月11日に仕事を辞めたそうですが、そこの職場で保険はかけてもらえていなかったといいます。
血圧を測って、ビックリしました。何といわゆる上の血圧が 240 mmHg 、下が 140 mmHg でした。三十有余年、医師をやっていてこれ程高い血圧は経験したことがなく、慌ててこの患者さんをベッドに寝かせ、応急的に血圧を下げる手段をとりました。よくも脳卒中を起こさなかったものだと感心すらやら、いろいろするやら、“ トンデモ患者 ” に出会ったものである。
幸い応急処置の甲斐あって、1時間半後には 170 / 122 mmHg まで血圧は下がっていました。資格証明書払いということで、最低限の検査を行いました。案の定、肝機能障害がありました。何せ、身長 162cm で、体重が 130 kg! 因みにこの日の支払い医療費は10割負担で 11,770 円 でした。
29日再診の折には、血圧は 176 / 86 mmHg だったので一安心。血圧は一挙に下げすぎてはいけないので、2週間後の再診を約束して、診療終了としました。
このように、“ 資格証明書 ” は、医療機関へのアクセスを制限し、重症化して、はじめて医療機関を受診するようになります。このようなことでは医療費は嵩 ( かさ ) むばかりです。今や、健康保険制度といっても3割負担を強行することによって、日本の国民医療費は2割負担の時よりもアップしているのではないでしょうか?
後期高齢者医療保険制度では1割に及ぶ人たちが資格証明書交付の対象者になりそうです。後期高齢者はそれ未満の人たちに比べ、免疫力が落ちていますので、より重症化しやすいのです。とすると、かえってまた国民総医療費は大幅にアップしてしまいます。国は予防することによって、医療費を下げるといっていますが、このような方策では駄目と、小生、松本文六は考えますが、皆様はどうお考えでしょうか。
2008年2月16日
見る・観る・聴く・嗅ぐ (3)
医療
§モンスターペイシェント
昨年の11月12日、大阪・堺市の病院に入院していた “患者さん” が、西成区の公園に置き去りにされていたというニュースを翌日の新聞で知った。何とひどいことをする病院なんだろう !! というのがほとんどの人の最初の感想・印象だったと推測される。
小生、松本文六は何かおかしいのでは?と直観的に想った。しかし、小生はこの “事件” に関するその後の報道に関してほとんど見なかったし、耳にもしなかった。
ある日、ボーっとしていた時に、偶然、手許に積んでいた雑誌に目をやった。パラパラッと見ていたら、『大阪で起きた入院患者捨て去り事件について』という活字が眼に飛び込んできた。あの事件ことだ!と愁いで眼を走らせると、モンスターペイシェント ( Monster patient ) という言葉が頭に浮かんだ。
この “患者さん” は、60代の糖尿病をもった全盲の男性の由。糖尿病で全盲の患者を公園に置き去りにしたという記事を眼にすれば、誰もが、こんなひどい病院があるのか!とこの “患者さん” に同情するのは至極普通の反応だと思う。
しかし、この記事を続けて読むと、まさに怪物的患者、モンスターペイシェント ( Monster patient )という言葉を実感する。この男性は7年前からこの病院に入院しており、病院関係者 ( おそらく、医師、看護師他の ) や、他の入院患者に暴言をはき、時には暴行や器物損壊を行い、さらには6人部屋を一人で占拠していたという。
しかし、この “患者さん” は、入院治療の必要はなく、通院治療に切りかえることに本人自身が同意していたという。その上、入院費の滞納が続き、困った病院は、男性の前妻が住む家に連れて行ったところ、引き取りを拒否されたという。それで、病院職員は、この “患者さん” を公園のベンチに置き去りにし、救急隊にあとをお願いしたという。
モンスターペイシェント ( Monster patient )は現にいる。小生、松本文六の病院では、このような “患者さん” はいない。万が一、このような患者に対して、病院の医師や職員が恐がって対応できないようなことがあったら、一体とうすればいいのでよいのでしょうか? 他の患者さんが迷惑をこうむり、あげくにはその病院から他の病院に転院してしまうかもしれません。モンスターペイシェント ( Monster patient )とは、医療機関に対しても他の患者さんにも共通に多大な迷惑をかけるのです !!
興味のある方は「文藝春秋」1月号476頁を参照下さい。
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