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2009年05月のアーカイブ
2009年5月13日
臓器移植法"改悪"に反対する医師からの声明(3)
医療政策
~ 物言えぬ“弱い立場”の人々の意思が抹殺される~
又、今回の見直し案の中で、最も問題なのは、A案の《脳死を一律に人の死とする》《本人の同意がなくとも家族の同意のみで臓器摘出は可能》《親族への優先提供も認める》《子どもの臓器摘出も0才より認める》という上記現行法の基軸のすべてを否定するという“改悪”案である。
臓器摘出を子どもも含めて本人の同意がなくても、家族の同意だけで可能とすることは 黙して語れない者の生に対する冒瀆であり暴虐である。
このような考え方が一般化されれば、重度の神経難病者や植物状態になっている人など、物言えぬ“弱い立場”の人々の意思をすべて家族が代弁できることになる。これは障害者に対する家族による安楽死殺人などにも通じる考えであり、容認することはできない。
上記長期脳死症例、慢性脳死例などを考えると、脳死を一律に人の死とすることに私たちは強く異議を唱えたい。すでに脳死は人の死であるという考え方は、具体的な医療の場では否定されてきている。身体の統合性は、身体の諸臓器諸組織諸細胞の相互作用に由来するものであって脳が身体の統合性のすべてを担っているわけではない。
以上、私どもはA案は明白な“改悪”案であり決して容認することはできない。又、上記理由により臓器摘出の現行15才を下げるA,B,D案にも同意することはできない。私どもはC案を支持する。
私どもは医師としての視点から以上声明する。
呼びかけ人
松本文六(地域医療研究会 代表世話人/社会医療法人財団天心堂 理事長)
斎藤竜太(労働者住民医療機関連絡会議 議長/十条通り医院 院長)
山口研一郎(現代医療を考える会 代表/やまぐちクリニック院長)
2009年5月13日
臓器移植法"改悪"に反対する医師からの声明(2)
医療政策
~脳死の少年が、20年有余を生き続け、第二次性徴も生じ身長は156㎝まで伸びた ~
しかしながら、子どもの脳死判定基準は未だに確定したものはなく、2004年の日本小児科学会の報告では、脳死判定後なお30日以上生存していた(長期脳死例の)子どもが74例中18例(何と24%)もあった。他方で、虐待による子どもの脳死の事例および脳死状態より心停止に至る子どもの死を容認する親の心情などを考えると、A,B,D案には賛同できない。又、カリフォルニア州立大学ロスアンジェルス校の小児神経学教授のアラン・シューモン氏は、1996~1997年の間に報告された12,219例の子どもの脳死症例を分析し、1週間を越えて生き続けた175例を解析。この内医学的データの整備された56例を抽出分析した結果、1ヵ月以上の生存例28例、2ケ月以上17例、6ヵ月以上7例1年以上4例であったと1998年に報告している。この中で語られている最長例は14.5年で、この少年は2004年1月に心停止を来し、20年有余を生き続けた。第二次性徴も生じ、身長は156㎝まで伸びたという。これらの事実に鑑みれば、脳死は決して人の死ではない。この報告を機に医療界に“慢性脳死”という言葉が生まれてきている。
私どもは、子どもからの臓器提供に関しては、もっともっと時間をかけて審議すべきだと考える。
2009年5月12日
臓器移植法"改悪"に反対する医師からの声明(1)
医療政策
「臓器移植法"改悪"に反対する医師からの声明」を全国の医師の仲間とともに出しました。その内容を(1)~(3)の3回に分けて紹介します。
~ 子どもからの臓器提供に関しては、もっともっと時間をかけて審議すべき ~
1997年に成立した臓器移植法の見直し審議に向けて、慌しい動きが国会で始まっている。
私どもは、脳死を前提にした臓器移植は、移植を受ける者の救命とともに、臓器を提供する者の救命医療という表裏一体の関係にある先端医療なので、その審議は慎重の上にも慎重であるべきで、拙速な修正をすべきでないという観点より以下声明する。
現行の臓器移植法の骨子は以下の3点である。
①臓器提供に関しては、本人の意思が書面で認められており、家族の同意を必要とする。
②脳死は①の場合にのみ人の死とする。
③15才未満の子どもの臓器提供は認められない。
今回の見直しを巡り、中山案・斎藤案・金田案・笠案の4案(以下、順にA,B,C,D案と呼ぶ)が提出されている。
今回の見直しの動機は、子どもからの臓器移植に関し、WHOの海外渡航移植が禁止されるということを契機に、子どもからの臓器摘出をより容易にさせようとするものであった
この中でB・C・D案は、上記①②に関しては現行通りとし、③を巡りA及びD案は0才より臓器提供を可能とし、B案は提供年齢を12才に下げ、C案は現行通りとするものである。C案は、更に生体移植・組織移植についても改めてこの法に明記し、今までより厳しい脳死判定基準を求めるものである。
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