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2008年10月16日
後期高齢者医療制度はやはり廃止すべき!!
医療政策
- 国は本気で見直す気がある? -
選挙向けの発言、口先だけ?
この4月より実施されています後期高齢者医療制度は、全国の高齢者からの天を突く怒りと憤りの声の中で、舛添厚生労働大臣は、9月19日、次期国会でこの制度を《抜本的に見直す 》との考えを明らかにしました。
その見直しの視点は、
① 75才以上という年令で分けない
② 保険料の天引きを強制しない
③ 負担について世代間の反目を助長する仕組にしない
というものでした。
この発言には、麻生太郎新総理大臣も全く同じ発言をしています。しかし、再任された舛添厚生労働大臣は、更にこうも言っています。《 最低1年議論し、それまでは現行制度を維持する。“廃止”とは一言も言ってはいない。 》と。
舛添厚労大臣は、これまで、一貫して《長寿医療制度(後期高齢者医療制度)は良い制度であり、堅持する》と言ってきました。今の時点で、こんな発言をするのは《選挙向けの発言で、口先だけだ! 》と野党や心ある人々は批判しています。確かにテレビや世論に押されて、選挙を目の前にして政府自らがこの制度の破綻を認めざるを得なくなったのでしょう。しかし、“抜本的見直し”はどの程度のものか、前述の3つの視点の確からしさも含めじっくり観ておく必要があります。何故なら、この後期高齢者医療制度の根幹を動かす気配は毛頭なさそうだからです。
後期高齢者医療制度にはとんでもない仕組みがある
そもそも、この制度にはとんでもない仕組が内包されています。
(1)75才以上と65才以上の身体障害者手帖を持った人たち、いわゆるハイリスクグループの人たちを一括りにしている医療制度であることです。すなわち、好むと好まざるとに拘らず、病気になりやすい人を対象とする医療制度であるため、いずれ、この制度の財政的破綻は眼に見えています。厚労省の試算では7年後には、この制度の保険料は1.4倍になるといいます。としますと、現役世代の支援金も1.4倍となり、世代間の反目を誘導する形の展開が予測されます。
(2)保険料が、従来より高くなる人が低所得者程多い。しかも、保険料を1年間払えなければ資格証明書を発行し、1年半滞納が続けば、資格証明書さえ剥奪するという点です。このことは、無保険者を大量に発生させることになります。
(3)医療現場と患者さんの間に混乱をもたらす点。
後期高齢者診療料を請求する診療所と請求しない診療所で、患者さんの疾病が同じであっても料金が異なりますし、75才を境にして同じ診療所にかかっている患者さんの間で受けられる医療に歴然とした格差が生じることがあります。
(4)家族の絆を断ち切る仕組が内包されている点。
これまで子どもの扶養家族として自ら保険料の支払い義務のなかった人たちが、別の保険(後期高齢者医療制度)に強制加入させられ保険料を新に払わされることとなります。又、75才以上と75才未満の夫婦2人世帯では、夫婦が別々の保険に加入させられることも起ります。夫は後期高齢者医療保険制度に個人として加入させられ、妻は国民健康保険制度に加入させられます。しかも、妻のこの時の国民保険料は夫との所得合算で計算されますので、世帯の保険料は必然的に上ります。
“何故こんなことになるのか?”、心理的には外力で親子や夫婦の間の一体感の絆を断ち切られるのかという想いにかりたてられるのは理の当然ですし、不条理な施策に怒りや憤りを覚えるのは自然な感情です。このような仕組は、家族やお年寄りを大切にしてきた、日本の文化を破壊するような怖さを持っています。
(5)年金よりの強制天引き制度は、本人同意なしの強制で、憲法違反の疑いさえあります。法の根幹をなす日本国憲法を無視する蛮行と言わざるを得ません。
(6)入院した場合、月の途中で75才を迎えますと、これまで1ヵ月の高額療養費44,400円を払えば良かったのですが、この制度の下では場合によっては入院費として2倍の88,800円を払わなければならなくなります。前半は国民健康保険制度の、そして後半は後期高齢者医療制度の対象者であるからといいます。
国民健康保険料と介護保険料を払えない人が1割以上
私が最も危惧してきました点は、この中でもとりわけ(1)と(2)です。(1)(2)は、この制度には国民皆保険制度を真向から解体させる仕組みが組み込まれているとみなさざるを得なかったからです。とりわけ、(2)の資格証明書の交付という点です。2800万を越す65才以上の高齢者で、国民健康保険料と介護保険料を払えない人が1割以上いるといわれています。としますと、75才以上の高齢者では恐らく300万人を超す人が無保険者に陥ると見込まれます。
この点を誰から指摘されたのか、それとも重要人物が教唆したのか、厚生労働省は、7月11日に次のようなことを表明しています。曰く、《 年金収入が夫婦世帯で年238万円以下、単身で年203万円以下の加入者は資格証明書交付の対象外とする》と。又、《 資格証明書は、『相当な収入』があるのに納めない悪質な者に限って適用する 》とも表明しています。後期高齢者医療制度に加入させられる1300数十万人の4割強、約570万人が、これに該当するといいます。もし、全国的に批判の声が上らなかったら、2009年10月には、無保険者が対象者の約4割に達するかもしれませんでした。この点に関して、私どもが、批判してきた最大の問題点が、総選挙目当てか、完全にはずされた意味では、私どもの“廃止せよ!”という指摘は、的を射ていたことをも示しています。
(3)~(6)についての手直しも又、更になされてきています。この制度が施行後わずか3~4ヵ月で、法の根幹部を変えなければならないということは、この制度が強行採決されたとはいえ、法の体をなしていなかったことをも示しています。
そもそも、この後期高齢者医療制度は、弱者の存在を全く認めていない制度でした。《 惻隠の心無きは人に非ざる也 》と古の人は言われましたが、現在の法、それをつくる官僚・政治家はそうなのかもしれません。前の老人保健制度には、それでも、この心はありました。
多くのお年寄りの怒りと憤りが天を突き、この後期高齢者医療制度の“抜本的見直し”が、国民皆保険制度を解体させないことを願いたいものです。
私たち医療者が考え行動しなければならないこと
私たちは、常に、医療者として国の施策に幻想を抱くのではなく、憲法25条第1項の生存権を守るために、国の医療政策を批判し、同条第2項に示されていることを実行するよう国に対して強く要求してゆくべきだと考えます。
10年間継続して検討してきたものであり、今更、この後期高齢者医療制度を廃止せよというのであれば、対案を示せという意見・批判が私の意見書に寄せられてきました。長期間に亘って検討されてきた制度が、この程度のものであるとすれば、制度を高く評価されてこられた方々は、何のため誰のために、この制度を認め推奨されてこられたのか、更には、無保険者を対象者全体の4割も産み出しかねない制度の欠陥を何故見抜けなかったのかを明らかにすべきでしょう。
私たち医療者が考え行動しなければならないことは、そして私たちが新しく提起された医療に関する法を批判する場合には、それが何年間議論されてきたのかどうかではなく、その適用を受ける国民=患者さんにとってどういう負担と負荷が及ぼされ、医療が改善されてゆくのか、それとも悪い方向に行こうとしているのかという点を深く分析検討し、批判してゆくという視点に立ってなされるべきです。
法の根本となる日本国憲法には次のように記されています。

2008 9.23.
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