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文六つうしん

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2008年9月 9日

医療崩壊とは? (8)

医療政策

§ ふるさとでは出産できない !! 
― 大野病院 “ 事件 ” との関連で ―

医療事故調査委員会 -3-

 この事故調に関する小生、松本文六の意見は、第二次試案が出た段階の2月1日には、各方面に配布した。今、読み返しても、この意見は間違ってないので、以下に掲げる。


―――――――――――――――――――――――

医療事故調査委員会(仮称)の在り様について

        2008年2月1日
        総合診療医 松本文六(大分市)


1 医師法21条の届出しなければならないケースの基準をより鮮明にすべきである。

 福島県立大野病院の“事件”をきっかけに、医療界に大激震が走ったことを考えれば、1994年5月に発表されてた日本法医学会の 『 異状死ガイドライン 』 が適切妥当なものとは判断しがたい。
 法律の専門家でない臨床医が医師法21条を読めば、《 犯罪の臭いがする 》 場合に届け出れば良いという考え方が一般的である。ガイドラインでは、大野病院“事件”などの多発は防ぐことはできない。医療にさして詳しくない警察は、予期できなかった死亡例に関しては、その職制よりすると犯罪捜査の感覚で対処することとなり、医療現場の実態にそぐわない処理が出現することは多々あると思われる。そのような点では、医師法21条の運用に当っては法医学会のガイドラインは不適切なものと判断すべきであると考える。


2 事故調査委員会の業務範囲は、死因究明と医療事故の発生に至った原因分析を行うという業務に限定し、日本の臨床医学の質の向上に資することを基本的任務とすべきである。

(1)届出を怠った場合には何らかのペナルティーを科すという、戦前の警察国家的発想であれば、現場は萎縮してしまい、患者さんのタライまわしが必然的に起こることが予測される。保身医療が横行し、本来の医療としての役割が変質させられ、委員会の目的が実現できなくなる。
(2)民事裁判の証拠としての採用は避けられないものだと考えられるが、行政処分や刑事裁判に“活用”させるのはやめるべきである。これを恐れて、届出の“公文書偽造”が頻発し、本来の委員会の目的が失われることとなる。


3 厚生労働省に委員会を設置すべきではない。

 少なくとも内閣府の下に置き、公正取引委員会のような各省庁から独立した予算と独立した権限をもった委員会とすべきである。


4 委員会には遺族の立場を代表する者を入れるべきではない。

 遺族を委員会の一員にすることが、本来の診療関連死の原因究明や不幸な事例の再発防止に寄与するとは考えにくい。むしろ、市民の代表 ( 患者代表や被害者団体、あるいは医療に関するNPO法人など ) の方が冷静な議論ができると考える。

                     以上

―――――――――――――――――――――――

 第三次試案の 『 警察への通知 』 は、今の時点でも大きな問題があることはすでに述べた。これは法案として国会を通過すれば、 “ 防御的 ・ 萎縮医療 ” は恐らく蔓延するであろう。訴訟を避けるために重病でもないのに専門外として、体よく診療を拒否し、タライまわしと勤務医のいわゆる“立ち去り型サボタージュ”がこれまで以上に拡がって、医師不足→医療崩壊がますます拡大してしまう。それを、松本文六は大変危惧 ( きぐ ) している。
 医師不足とりわけ、勤務医不足について、先の2006年7月の日本病院会のアンケート調査では、以下のような結果が示されている。設問は10項目のうち、特に関連のあるものに〇を付けるという形式がとられている。以下に%率の高い順に並べる。


080906.gif


 断トツに多いのが、勤務医の過酷な労働環境である。多分この項に〇を付けた多くの勤務医師は、5、6、7位当りをも〇を付けているのだろう。そして、他方で開業医との所得格差を〇にしている勤務医は恐らく、1、3の項目とも連動していると考えられる。2、4、9の項目は完全に連動していると思われる。恐らく、自らの属している医局からの医師引き揚げの中で、考えた結果としての思考の過程であろう。
 5位は真面目であればある程、そして自らの力量との関係で〇印を付けたと思われるが、これは3位の世間からの『過度な安全要求』と連動していることは間違いない。一生懸命頑張っておられる姿が眼に浮かんでくる。この良心的な医師たちが、プッツンしたら、それこそ、日本の医療は第三世界並の医療情況に陥ってしまうであろう。
 このような意味で、医療事故調査委員会の 『 警察への通知 』 と 『 行政処分 』 は、事故調の権限より外すべきだと考える。
 故意、悪質、リピーターは、まず、それを認識した途端に届出をしない画策をするのは目に見えている。警察に捕まることを知っていて、自分の泥棒の手口を事前に届け出るようなバカはいないということを私たちはまず理解すべきである。
 医療事故防止・再発予防には、当初より個人を罰するという仕組みが組み込まれているシステムは決して、その目的を達成することは不可能である。と、松本文六は考えている。
 このような、日本病院会のモニターを最大限活用しつつ、同時に、医療崩壊をこれ以上進めないために、国は、厚労省は何をなすべきかを考えるべきであろう。
 今、大事なことは、そして、喫緊 ( きっきん ) の課題は、医療崩壊をこれ以上進めないことである。

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