文字の大きさ
文字サイズを「小」に変更する
文字サイズ「中」に変更する
文字サイズ「大」に変更する

文六携帯メール会員募集中!

文六ホームページを携帯で見よう!

後援会情報

日本の医療の流れを変える会

HOME > 文六つうしん > 医療崩壊とは? (5)

文六つうしん

< 医療崩壊とは? (4) メイン 医療崩壊とは? (6) >

2008年9月 3日

医療崩壊とは? (5)

医療政策

§ ふるさとでは出産できない !! 
― 大野病院 “ 事件 ” について ―

医療界はなぜほっとしたのか?

 それは、もし有罪判決が出れば、医療現場が今以上に萎縮し、難しい処置や手術を避ける自己保身医療が蔓延 ( はびこ )ることが予測されたからだ。この裁判が、10 年前だったら、場合によっては有罪となったかもしれない。それは、大学の権威がまだあったため、医学部教授の鑑定人証言と、公的病院の勤務医による鑑定人証言であれば、裁判官は前者の言に左右されるからだ。しかし、今回は、この大野 “ 事件 ” が多くの産婦人科医をはじめ学界、医療界の百を超える団体から意見書の提出や抗議がなされていたから、裁判所としても相当慎重な判断を迫られたと想われる。
 意見書や抗議の内容は、殆 ( ほとん ) ど共通していた。それは、《 普通の医療を行っていて、それが不測の事態の出現で患者さんが死亡した場合、その結果だけで刑事責任を追及されると、医療現場が大混乱する 》 というものだ。
 1,000 件近い帝王切開手術を手がけたという東京都立府中病院産婦人科の桑江千鶴子部長 ( 56 ) は 《 私も加藤医師の立場だったら、同じ治療をしていた。日本中の医師の思いが共通していたので、これ程の動きが広がった。 》 ( 大分合同 ; 2008.8.21 ) と。また、こうも発言している。《 これは誰がやっても難しい症例。リスクを伴う医師の仕事そのものを否定されたようなものだから、現場の医者は 『 明日はわが身 』 と感じた 》 ( 週刊 “ 金曜日 ” ; 2008.8.29 ; 716 号 ) と述べている。
 この “ 事件 ” について、《 なんであんなものを起訴したんだ 》 と、初公判が開かれた 2007 年 1 月、検察官首脳は呟 ( つぶや ) いたという (大分合同 ; 2008.8.21 )。また、他方で、警察は、《 逃亡や証拠隠滅の恐れがないのに、逮捕するのは行きすぎだ 》 との強い抗議と批判にもさらされた。
 このような点で、この大野 “ 事件 ” は、世間から、医療界 ・ 法曹界からも大いに注目されていた。とりわけ、この “ 事件 ” は、多くの産婦人科医が全国で “ 産 ” をやめるキッカケとなったし、他の領域での医師不足や医療崩壊という社会的な問題とさせたからである。
 これを契機に、厚労省も、昨年より 『 医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明 ・ 再発防止等の在り方に関する試案 』 の検討を始め、この4月には “ 第3次試案 ” を公表した。国は、医療事故調査委員会を設置する方向での検討にはいっている。
 それは、診療に関連した死亡例の原因究明と再発防止を図 ( はか ) るもので、9月下旬開会の臨時国会に上程される予定らしい。
 この点について、小生、松本文六の意見を次回に述べたい。
 問題が次々に拡がってゆき、文章も長くなってきた。しかし、問題の核心を知ってもらうためには、このような方法は避けられない。とりわけ、医療は医療職以外の部門にたずさわっている方々には大変判りにくいので。

< 医療崩壊とは? (4) メイン 医療崩壊とは? (6) >