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2008年9月 2日
医療崩壊とは? (4)
医療政策
§ ふるさとでは出産できない !!
― 帝王切開死、医師に無罪 ―
福島県立大野病院 “ 事件 ” の判決が8月20日下された。
2004年12月、帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故で、福島地裁は業務上過失致死などの罪に問われた産科医に 《 標準的な医療措置で過失は認められない 》 と無罪の判決を言い渡した。
この無罪については、医療界は正直胸をなでおろしている。しかし、死亡した女性の遺族には割り切れないものが残っているのも事実であろう。それは、裁判の中で明らかになった、次のような経過があったからだ。術前、同病院の助産師が、加藤医師に転院を助言し、先輩医師が大量出血の恐ろしさを教えていたというからだ。何故、このような助言に加藤医師は従わなかったのか、詳細は小生には、今のところ把握できていない。
大量出血は結果として 5000 ml を 超えていたという。この大量出血がショック状態を惹 ( ひ ) き起こし、死亡に導いたという。失血死である。この点では、加藤医師の胎盤剥離行為と死亡には因果関係があると判決は指摘している。しかし、加藤医師は、手術直前には、癒着の可能性は低く、5 %に近い数値であるとの認識を持っていたという。術中にこの予測は完全にはずれてしまった。死亡した女性を体重 45 kg と仮定すれば 5 %の出血とは約 150 ml である。しかるにこの手術での出血量は5000 ml という。この女性の血液量は約 3000 ml なので、5000 ml を超える出血であれば、輸血が充分になされない限り失血死は免れ得ない。循環血液量の2分の1が失われれば一般的には死に至るというのが医学上の一般的な常識である。
どうすれば、この女性の死を避けることができたのか? “ 判決要旨 ” ( 日経新聞 : 2008.8.21 ) では触れられていない。
検察の主張は、《 出血が著しくなった時点で子宮全摘出術に移行すべき 》 であった。これに対し、弁護側は、《 臨床での癒着胎盤に関する標準的な医療措置として、用手剥離を開始した後は、出血をしていても胎盤剥離を完了させ、子宮の収縮の期待するとともに止血操作を行うと解するのが相当である 》 としている。判決では、《 検察が主張するような癒着胎盤と認識した以上、ただちに胎盤剥離を中止し、子宮摘出手術に移行することが当時の医学的準則だったと認めることができない 》 と述べられている。
もう一つの医師法21条違反については、判決は次のように述べている。《 医師法21条にいう異状死とは、法医学的にみて普通と異なる状態で死亡していると認められる状態であることで、治療中の疾病で死亡した場合は異状の要件を欠く。本件は、癒着胎盤という疾病を原因とする、過失なき診療行為によっても避けられなかった結果であり、異状がある場合に該当するとはいえない。起訴事実は証明がない 》 と。
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