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文六つうしん

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2008年5月25日

死に場所づくり (2) - 3

エッセイ 2

§ “地域医療の本質” ③

 「死に場所づくり」という一句が私 にとってあまりにも衝撃的であったのは、独り考えつづけても到底達し得なかったであろう高齢者の医療・福祉への関わりかたの概念を一言で表現したという驚きからであった。若い医者とつきあっていていつももどかしく感じるのは、「老人医療をしているのは二流である」という潜在的偏見があるのではないかと思える局面にしばしば出くわすことである。「治す医療でなければ医療ではない」という先入観をどうも大学教育の中で彼らは植えつけられているのではないかと私はいつも懸念している。斎藤氏曰く、

「かつてのわれわれの病院にいた若い医者が言った。『 地域医療とは勝利なき闘いである 』 と 」
「 地域 『 医療・保健・福祉 』 とは、死に場所づくりのことなり」

 あの大きなしゃがれ声の洒脱な斎藤芳雄氏が傍らで語りかけてくれるようなこの本は、久しく出会えなかった傑本であると私は思う。彼の20年間にわたる医療活動の総括の書であろうが、“ 地域医療 ” の本質をこれだけスッキリと、しかも一言で表現し得た斎藤芳雄氏に対し、私は心より敬意を表したい。


*初出 月刊 総合ケア Vol. 3 No. 10 1993.10

*「死に場所づくり」 斎藤芳雄 著 教育史料出版会 1992年12月発行

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