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文六つうしん

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2008年5月23日

死に場所づくり (2) - 1

エッセイ 2

§ “地域医療の本質” ①

 この標題の 「 死に場所づくり 」 という 言葉は私の発明ではない。新潟県南魚沼郡大和町にあるゆきぐに大和総合病院院長の斎藤芳雄氏の発明である。昨年12月に教育史料出版会より発刊された斎藤芳雄氏の単行本 『 死に場所づくり 』 に由来する。
 最初にこの本をひもといたのは、著者より送られてきて何週間かの後であった。診療の合い間にふっと手が伸び、頁を開くと、瞬く間もなく吸い込まれてしまった。 「 はじめに 」 の数行が眼にはいるや、後頭部を何かで強く叩かれたような衝撃を受けた。
 1980年9月1日に天心堂へつぎ病院を開設して以来、いろいろな形で “ 地域医療 ” を展開してきておられる医師たちと意見交換してきたが、「地域医療とは何ぞや?」と問いつつも、私自身明解な答えを見出すことができなかった。あれこれ模索してゆく中で、“ 地域医療 ” とは、「地域を基盤にして継続的に展開される全人的かつ包括的な広義な医療」という一節に出くわし、この一節を私たちが展開すべき “ 地域医療 ” だと定義づけて今日に至ってきた。そして、「 人間をトータルに見る医療であり予防を主とする医療 」 「 Total Cure & Care 」 と職員に向って声高に呼びかけてきた。
 いずれも、聞けばなるほどそんなものかと納得がゆくが、どこかで自分がしゃべっていても空々しい感じを払拭することができなかった。ましてや、大分市の片田舎でそういう言葉をはいても、医療の現場はもっとドロドロしたところであり、何とか綺麗事すぎやしないのか? というある種の不安感に付きまとわれているような気がしてならなかった。それは、長年病院内でしか、しかも治療医学を主体とした医療活動しかやってこなかったせいなのかもしれない。
 
*初出 月刊 総合ケア Vol. 3 No. 10 1993.10

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