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文六つうしん

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2008年5月21日

死に場所づくり (1) - 2

エッセイ 1

§ 「水戸黄門」と老人たち ③

 21世紀の保健・医療・福祉を語る方々は、まず今の高齢者がどういう人生を送って来た人々だったのか? ということを改めて認識する必要があると思う。
 日本が第二次世界大戦に敗北したとき、相撲を愛し、水戸黄門を愛す老人たちは一体何歳だったのだろうか? 敗戦の年に20歳だった人は今68歳、30歳だった人は今は78歳、40歳だった人は今は88歳。大部分の庶民は予想だにしていなかった敗戦という事実にそれこそただ呆然となり、一時は生きる希望すら持てなかったという状況から、それに伴う社会的混乱と食糧難の時代を懸命に生き抜いた人々 ―― このような世代の人々が、今日ある世界一豊かな国日本の礎 ( いしずえ ) を築いてくれたという事実を私たちは決して忘れてはならないのではなかろうか? ( このような時代をかいくぐって大儲けした人々は国や私たちが何もしなくとも生きてゆくには十分な貯えを得ているので、この種の人たちは私たちの視野の外にある )
 このような世代の人々が今老人保健施設に入所し、老人保健法の対象となっている。にもかかわらず、国はこの老人たちにあまりにも冷たい。自己の保全のためには金をかけても、このような老人世代をバックアップすることには金をかけようとはしない。その努力さえもしない財源論争には私は何かおぞましいものを感じる。

*初出 月刊 総合ケア Vol. 3 No. 9 1993.9

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