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2008年4月17日
何のため誰のために医療をするのか?
エッセイ 1
§ 32年目に気づいたこと ⑥
《 One Generation は30年 》 という言葉があります。最近、そのことにやっと思い当たりました。外来診療で患者さんから話を聞いていますと、人は誰でも年をとることに気づきにくいもののようです。
へつぎ病院を開設後の10年間は、とにかく病院が地域の人々から認知されることを希い、猪突猛進の日々でした。病院開設13年目の1993年に 《 地域医療研究会 93 IN 豊の国 》 を別府で主催し、13年間の天心堂の医療を総括し、天心堂の理念を確立しました。また、脳死臓器移植問題に関しては、一人の医者として一人の人間として 《 “ 脳死 ” は人の死ではない / 脳死状態からの臓器摘出は認められない / 他人の死を前程とする医療には反対 》 という立場で全国規模での行動を展開しました。そして、97年には病院を移転新築し、入院機能と外来機能を完全に分離しました。
しかしながら、80年に創設した天心堂の20周年誌の巻頭言を書き始めて気づきましたことは、90年からの10年間の自分は何をやっていたのかということでした。ふと立ち止まって振り返りますと、理念を整理し、新病院をつくったものの、前半10年間に築きあげてきた天心堂そのものがもろくも崩れはじめていることに気付きました。また、本来、この時期に病院経営・運営の骨幹たる若き後継者を養成していなければいけなかったのに、それを実体化できませんでした。自らが年をとることをいつしか忘れてしまっていました。さらに、69年卒の卒業アルバムに 《 裸の王様にはなりたくない! 》 と自ら記しておきながら、自らがそのような状況に陥り始めていたことにはたと思い至りました。この愚かさにやっと気付き、今相当慌てている。あぁ! しかし30年目にして遅ればせながらも気付いたのであればまだ救われるか! と思い直してもいます。
《 何のため誰のために医者になるのか? 》 《 何のため誰のために医療をするのか? 》 というテーマは未だ達成されていません。この命題を抱えながら、予防を中心に据えた、《 良質にして包括的な保健 ・ 医療 ・ 福祉 を地域に提供する。そして100年を越えて生き続ける医療を実現する。》 という天心堂の医療目標を達成すべく、これからもうひと踏んばりしたいと今考えています。
これからの5年間で、天心堂医療の原点に改めて還り、プライマリケア / 救急医療 / 在宅医療・介護を核とした、若い医療人が天心堂で研修したいと思うような地域完結型の医療福祉複合体としての天心堂にしたいと考えています。 < 完 >
*初出 九大医学部同窓会誌 『 学士鍋 』 第125号 2002年12月20日発行
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