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2008年4月29日
生き場所づくり (1)
エッセイ 1
§ 新しい医療・福祉の視座の確立を ②
このように変容してきている医療 ・ 福祉の実情に対する動的観かたが、従来の医師に欠落していました。このような観かたを全く教わっていないので、若き医師たちが、 「 地域医療とは勝利なき闘いである 」 と叫ぶ訳です。疾病を治すことのみに主眼を置き、治せないものはないという錯覚を起させるような講義を受けてきた彼らにすれば、このような反応は、ごく自然です。
近代医学100年の歴史のなかで、治すことのできる治療医学の武器といえば、実は、わずか3つしかありません。抗生物質療法、輸液療法、外科手術です。
日本人の死因順位は敗戦後の1950年代前半より、それ以前に比べると急速に変化してきました。死因の第1位にあった結核、第2位にあった肺炎 ・ 気管支炎および下痢 ・ 腸炎は急速に影を潜めてきました。この大変貌は、1940年のペニシリン、1948年のクロラムクエニコールなど抗生物質の開発、および下痢 ・ 腸炎に対する抗生物質療法 ・ 輸液療法の一般化によりもたらされたものです。
最近の薬の開発は、疾病の予防あるいは慢性疾患の進行の緩除化に主眼が置かれています。これらの薬剤は、疾病を治す武器というよりは、人間の自然治癒力を補助する薬剤です。このような自然治癒力の補助剤と治す武器をどう活用できるのか、さらには、治すことができない疾病や予防できる疾病には一体どのようなものがあるのかを熟知することが肝要です。
*初出 月刊 総合ケア Vol. 3 No. 11 1993.11
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