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文六つうしん

< 介護現場が大変 メイン 生き場所づくり (1) >

2008年4月28日

生き場所づくり (1)

エッセイ 1

§ 新しい医療・福祉の視座の確立を ①

 地域医療とは何か? という新しい医療・福祉の視座が、今求められています。その1つの回答が、斎藤芳雄先生の 『 死に場所づくり 』 (教育史料出版会 199212月発行)であると思います。
 しかしながら、これだけでは不十分で、やはり医療のもっている生命の維持という側面を ( おろそ )かにする訳にはまいりません。この医療の側面を改めて見直し、新しい医療 ・ 福祉の視座として私は “ 生き場所づくり ” という概念を提唱したい。
 従来の日本の医療・福祉概念そのものは、疾病構造の変化と、平均寿命の長期化という現実のなかで、変容せざるを得なくなっています。しかし、この現実は、実際に診療に携わっている者には、なかなか見えにくい側面と構造があります。それは、従来の医学が、治療医学を主体とし、ごく少数の者を除き、その視点が予防医学や障害医学に向けられていなかったことに起因します。
 医学には、大きく分けて、予防医学・治療医学・障害医学の3つの分野があり、それぞれが、保健・医療・福祉の領域に相当します。また、医学には、ヒトをマクロの集団としてみる視点と、ミクロの個体としてみる視点の2つの視点があります。前者は予防医学の対象となり、後者は治療医学の対象となります。
 社会が未熟なときには、それぞれが独立してその活動がなされても、社会が成熟し、医学が進んできますとマクロとミクロの両方の視点で、保健 ・ 医療 ・ 福祉が語られざるを得なくなります。例えば、脳卒中を例にとってみますと、当初は脳卒中に陥 ( おちい ) った一人ひとりのヒトの病態を解析するというミクロの視点が主ですが、そのデータの蓄積のなかで、1つの疾病概念が確立され、そこから脳卒中の予防とリハビリテーションというマクロの視点が生まれてきます。リハビリテーションへ向けての教育とその後には、その患者がどう生き、どう生活できるのかという “ 生き場所 ” の論議が展開されます。医療者は、今やそこまでの論議に入り込むことを拒否することはできなくなってきました。


*初出 月刊 総合ケア Vol. 3 No. 11 1993.11

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