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2008年3月20日
崩れゆく日本の医療 ― その原因と対策 ― ⑤
医療政策
§ Ⅴ 医療崩壊を防ぐ方策
すでに述べたように、もはや医療崩壊は雪崩がすでに始まっていて、それを防ぐことは不可能と言っていい。むしろ、再生のために何をなすべきかを考えるしかない。
第一には、医療費を大幅に上げ、医師数を大幅に増やすことである。表5に示すように、OECD平均に追いつくためには年約4兆5,000億円、OECD上位10カ国の平均に追いつくためには年約14兆円を投入しなければならない。サッチャーが医療に市場原理を適用したため、イギリスの医療はすさまじい崩壊現象を来たした。ブレア首相は、2001年に「医療費を1.5倍にする!」という公約を掲げ再選を果たした。日本にはその財源はある。財源はつくろうと思えばつくれるというのが国家経済に詳しい日本の学者の共通の意見である。どの分野に優先的にカネを使うかは政党の価値観と都合によって異なるにすぎない。
また、医師数は、OECD平均に追いつくために実数として約13万人増やす必要がある(表6)。数あわせでは、今の2倍に医師養成数を増やしても、約8年はかかる。しかし、免許を得た医師が独りで患者をきちんと診れるレベルに達するには約10年を要す。したがって、OECD平均のレベルに実質的に達するには20年ほどかかることが推測される。
遅きに失したとは言え、医療費総枠を増やし、医師の絶対数を増やすという二つのことを再生のためには何としてでも実行に移す必要がある。
これらは長期的な医療崩壊防止策である。臨時緊急的な措置としては、卒後臨床研修医の研修先を各都道府県毎に何人までと規制をかけることである。少しでも医療崩壊の緊急的歯止めをかけるとすれば、これぐらいしか方策はない。
これからの日本の医療提供体制への私の提案
- 医療は社会的共通資本として位置づける。この視座で医療政策を評価する。
- 累進課税の上限を旧に復し、GDPに占める総医療費の割合を現行の7%台から10%台とする。
- 医師の数を人口1,000人当たり4人以上に増員する。
- 専門医制度を見直し、日本の疾病構造に見合った定員数を設定する。
- 医師・診療所・一般医療機関の適正配置を推進する。
- 政策医療の細目を決定し、公私の区別をせずにそれを担う医療機関を選定し、病病連携・病診連携と役割分担を明確化する。
- 補助金及び受託金の公的医療機関への片寄りを全面的に見直し、公私を区別せず、官民格差を撤廃する。
【表5】
【表6】
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