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2008年3月17日
崩れゆく日本の医療 ― その原因と対策 ― ②
医療政策
§ Ⅱ 医療崩壊の要因
(1)見えない医療従事者の思い
2006年4月の診療報酬の3.16%の引き下げ、2005年10月の介護保険施設での食費・居住費の自己負担化及び2006年4月の介護報酬4.7%切り下げは、医療・介護現場にさらなる崩壊を促進させてしまった。医療も介護も《きつい・汚い・危険》な3K職場と言われている。手を汚さずに優雅さを求めている人たちに、今の政治は手を差しのべ、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなるような社会の中で黙々と働いている人たちや施設にとって、それは痛切な打撃となって、投げ込まれた小石による波紋が急激に拡大するような形で彼らの疲労感を増長させていった。このようなことを話すと、《あなたたちは結構賃金はいいのではないの。あなたたちが言うのは信用できない。自分たちの賃金のことしか考えていないのだから》と、組合幹部から言われることがある。問題はそうではない。“痛切な打撃”の意味は、これでは《患者さんに、利用者さんにこれまで以上のサービス提供は到底できない。医療やサービスの質を上げ(これまで、そのような名目での介護報酬や診療報酬が提示されたことはかつて一度もなかった。それぞれの施設での自弁が強いられていた)ようにも、その費用がなくなってきました。私たちの処遇のために言っているのではありません。》という、哀しくも痛切な想いのことを指している。空気の読めない組合幹部の何と多いことか !!
(2)行政も理解していなかった医療現場の過重労働
また、2006年には、労働基準局が病院の医師の勤務時間調査をし、今の病院の当直は労働基準法の当直・宿直業務に相当せず、普通勤務と変わらない。それに見合った医師数を揃えよ! という“トンデモ通知”をしてきた。確かに、医師の当直は、二次救急病院等急性期病院では、翌日勤務も併せると、連続32時間以上の勤務は常態化している(表1)。とりわけ中小の病院ではそうである。地域の医療を担っている病院は、100~200床規模が大部分である。そこに勤務する医師にこの労働基準法を適用すれば日本の救急医療はまったく機能しなくなってしまう。この法の遵守を強制すれば、中小病院の医師は労働意欲を失い病院を辞めて開業する。そうすると、そこにかかっていた患者が大病院に集中し、そこの医師はさらに疲弊してしまい、勤務医を返上してしまうという壮大な負の循環が始まることとなる。このような中で、厚生労働省は、医師の常勤換算を1人週32時間とするという通達を出した。これは彼らの辻褄合せの論理であって、病院医療の当直の実態は何一つ把握し理解していないばかりか、“週32時間労働”という形でお茶を濁し、医療現場を改善する気は毛頭ないことが明らかになった。この時点でもなお厚生労働省は《 医師は充足している 》 と頑固に主張し続けていた。空気の読めない役人の何と多いことか !!
このような空気の読めない政治家・役人・組合幹部をはじめとする偉い方々が現実の医療崩壊を招いた。これはまさに人災だ。
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