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2008年2月13日
見る・観る・聴く・嗅ぐ (2)
経済・政治・国際
§日田病院の小児科「時間外診療中止」
2月5日の大分合同新聞に、『時間外を原則中止』という見出しの記事が出ていました。
済生会日田病院の小児科が、この3月より診療体制を大幅に変更し、時間外診療を原則中止することを表明した記事でした。
ある人より、何でそうなるの?と聞かれました。その方はすでに子育ての時代はとっくに終り、今や年金生活にはいったばかりの方です。そのせいか、《そんなことあっていいの》という想いが言外に感じられました。おそらく、世の60才以上の方々はそういう想いで、今の医療の現実を観ておられるのだろうと思われます。
小生、松本文六は、すでに65才に達していますから、同世代の人たちの反応がよくわかります。この世代の方々の子育ての時代には、小児科や開業医の先生方が、時間外の診療を制限したという事態に直面したことがなかったからです。
見出しだけをみますと、何となく《けしからん》《大学は何という注文をつけているのか?》と誤解されかねない文面です。
しかし、よく読みますと、2人しかいない小児科医が体を壊さずにすみ、かつ診療を継続できるためのギリギリの診療時間制限を設けたと、松本文六は見ます。
平日は午後8時まで、そして土曜、日曜、祝日も朝9時から夕方5時までは、紹介状があればきちんと診療致します、また、救急車の場合は、平時は朝8時半~夕方5時まできちんと対処しますと表明されています。
松本文六は、賢明な方策だと考えます。この済生会病院の小児科医が1人倒れたとしますと、あとの1人ですべての小児科診療を担うことは極めて困難になることは目に見えます。
全国的に医師が病院から消えて行っています。何故でしょうか? それは病院の勤務医が疲れてきっているということです。
その要因の第一は、奴隷を鞭(むち)打って酷使していたように、国の医療政策がしっかり仕事をしている勤務医に過重な働きを求めているからです。例えて言いますと、1990年代前半までには、お年寄りの肺炎の治療を20日前後で治していたものを10日で治しなさい、10日までに退院させれば報奨金(診療報酬上の言葉では“加算”)をあげますという政策です。厚生労働省の言葉に言い換えますと、《平均在院日数の短縮を! 2週間以内に退院させれば標準診療費の15%増しにしますよ!》という形です。
これを、低医療費政策のために経済の苦しい病院もが全国で一斉に取り組んだために、全国の勤務医が次第に疲れてきて、過労死に陥るような事態に至りました。20日で診ていたものを10日で退院させるとすれば、単純にみても医師の労働密度は2倍になります。看護師も放射線技師、検査技師、事務員、理学療法士、作業療法士とあらゆる職種の労働密度もまた濃くなってきました。
現に、病院は人手が足りなくなり、新たに人を雇用します。そうしますと、人件費はますます膨らみ、赤字は年々増えます。一昨年の公的病院の何と9割が大赤字という状況に陥っています。
このような状況の中で、医師が一人去り、看護師が一人去り、ついには診療科の閉鎖→入院患者の数制限→一部の病棟閉鎖→病院の閉鎖が次々に起こってます。
全国の病院がこのような形で市町村から消えて行っています。
地域の医療をギリギリのところで守るために、済生会日田病院の小児科診療における時間外原則中止ということは、このような意味で、賢明な判断だと、小生、松本文六は考えました。
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