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文六つうしん

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2008年2月27日

人は旅をして気をもらう (1) 五島列島

§五島列島 ③

 福江島の北にある久賀島には、すさまじい建物があった。楠原の牢屋跡で、1868年、ここにキリシタン200名が投獄されていたという。
 幕府は、キリシタン撲滅の一手段として宗門寺法を定め、子供が生れると、宗門帳に記入させ、死ねば僧を招き、お経をあげ 『 キリシタンにあらず 』 の証明がなければ葬式も許されなかったという。また、2年に何回か、お寺に参り、僧にお布施をし、神棚を設け、仏壇を備え、香・花を供えることを義務づけたという。
 この法式に則 ( のっと ) ることは、キリスト者には耐えられず、これを拒否したため、1868 ( 明治元 ) 年の迫害が始まったという。
 1868年11月12日、23人のキリシタンが捕えられ、福江城下の牢に入れられ拷問にかけられた。その拷問には、呵責、火責め、算木責、晒し責、押しから責、竹責、十手責、氷責、水責などだった。

  1. 算木責 … 三角に削った木を3本並べ、その上に正座させ、大石 ( 2人で持ち上げうる位のもの ) を2個膝の上に重ねる。石をゆさぶって痛めつける。
  2. 晒し責 … 裸にして木にしばりつけ、吹雪の夜、丘の上に立たせる。
  3. 押しから責 … 算木責の一種で、算木の上に膝を立てさせ、下腱に石を積み、腱と脚の間に棒をさし入れて前後に動かして苦痛を与える。
  4. 竹責 … 周囲9~12センチ、長さ150センチ位の青竹で力まかせに背中や胸を叩く。3~4回叩くと割れてしまう。
  5. 十手責 … 耳、口等に十手を押し込む。鉄の十手で叩く。
  6. 火責 … 真赤に焼けた木炭を掌にのせ、火吹竹でプープー吹く。火は掌の上で燃え、皮膚を焼く。

 その後、全島のキリシタンの老若男女、幼児までが、合計 200人近い信者が、前の23人とともに久賀島の牢にとじ込められた。その牢の広さは6坪で、中央を厚い板で仕切り、男牢と女牢に分け、二百数十人を押し込め、ピッタリと戸を閉め切ったという。言語に絶する状況であったという。食べ物は小さなさつまいもを朝に一切れ、夕に一切れ支給。老人、子供、幼児は飢えと寒さのため次々に死亡。大小便たれ流しだった。最初に死んだ79才のパウロ助市の死骸は5昼夜牢内に棄ておかれていたため、大勢に押し潰されて平たくなっていたという。このような状況の中で蛆虫が湧き、中には13才のドミニカは下腹部を噛み切られて死亡したという。
 まるで、ヒットラーのユダヤ人の虐殺のガス室よりももっともっと悲惨で残酷な恐るべき弾圧だった。
 牢内に囲まれること8ヵ月、一般信者はすぐ解放されたが、リーダー達はそれから2年有余後に解放されたという。その間牢内で死亡した者39人、出牢後死亡した者4人を数えたという。
 35才のリーダー惣五郎の拷問はすさまじく、6種類の拷問にかけられたが、それらすべてに耐え、《 どうされてもキリスト教を棄てませぬ 》 と最初の信念を守り通したという。
 このようなキリスト者の固い志にまみえると、かつて60年安保世代のリーダーの1人だった故 島成郎氏の言葉を想い出す。1970年代半ば、注射による筋短縮症の検診で訪れた沖縄の地で、保健師さんの紹介でお会いした折、何の話だったか想い出せないのだが、《 変な左翼よりもキリスト者の方がよっぽど信用できるよ!》 という言葉だ。 “ 牢屋の窄 ( さこ ) ” の狭い空間の中で信念を曲げなかった人たちの姿と島氏の言葉が二重写しとなって目に浮かんで来る。
 すごいなあ! と想う。このような話を幼児期から聞いた子供達の目はいつまでも澄んでいるのだろう。

                                                         ― つづく ―

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