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文六つうしん

2009年12月10日

医療崩壊は病院の危機、とりわけ民間中小病院の危機!!(3)

地域医療

同じ病気で同じ治療を受けたのに入院先によって支払う料金に大きな差が生じています
同じ病気で入院しても、表7のように病院によって医療費が1日で10万円(大病院)、2万円(中小病院)、1万円(慢性期病床)という差ができています!そのため、患者さんの負担にも差が生じているのです。
どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?
それは、診療報酬体系である「入院基本料加算」のためです。
入院基本料加算項目(・入院時医学管理加算、・ハイリスク妊婦管理加算、・新生児入院医療管理加算、・HIV感染者療養環境特別加算、、、等々)が36項目も設定されています。大病院はそのすべてを満たせるので高額の診療費を受け取れますが、中小病院はせいぜい3~4項目しか満たすことができないので診療費が少なくなります。そのために、地域医療を中心的に担っている中小病院経営に影響がでています。
入院基本料加算は大病院向けの加算でしかなく、中小病院の実態を全く無視しています。地域が疲弊し、医療崩壊がさらに推し進められているのです。


  = 患者つまり皆さん・医療を受ける側にも大変な事態 =
 病院・診療所の未収金が近年とみに増えています。これは、不況と医療費自己負担3割という政治と医療政策の失敗の結果として出てきた現象です。正規社員を中心とする被用者保険に加入している人はまだしも、非正規社員やリストラに会った労働者は、国民健康保険料さえ支払えなくなっています。
 この7月末現在の日本の完全失業率は5.7%で何と360万人に達しました。失業している人たちは、国民健康保険料を支払えないために受診を控えざるを得ない状況に陥っています。
 
 2008年6月1日現在の国民健康保険料の滞納世帯は5世帯に1世帯に達しています(表3)。

 本人が、保険料を1年間納付していない場合には、「資格証明書」が交付され、診療等を受けた場合には、医療費を一旦全額現金で支払わなければなりません(その後一部負担金を除いた金額の支給を申請することができる)。又、滞納が1年に達していない場合、医療機関で受診する場合には、1ヶ月、3ヶ月などの期間を区切って発行される短期被保険者証が交付されます。

 表3をみると、滞納世帯のうち、資格証明書及び短期被保険者証世帯は、合計163万世帯に及び、滞納全世帯の35%に及んでいます。一世帯2.5人と仮定すると、約400万人が無保険者になる可能性があります(これは生活保護世帯は除いた分です)。昨年秋から大量にリストラされた派遣や非正規社員は、この世帯に含まれていないことが考えられますので、資格証明書や短期被保険者証を交付されるであろう人たちは、この1.5~2倍に達すると思われます。

 また、後期高齢者医療制度では、当初から資格証明書の対象となるのは約570万人と想定されていました(表9)。

2008年4月以後、全国で後期高齢者医療制度への批判が高まる中で、厚労省は2008年7月11日に、夫婦世帯で年金収入が年238万円以下と単身世帯で年金収入が年203万円以下の者は資格証明書の対象外とすると宣言せざるを得なくなりました。
この2つのケースを考えると、高齢者や国民がいち早く怒りの声を発しなかったら、国民健康保険対象者だけで1000万人を超す無保険者が発生した筈です。
 古来より、疾病は貧困の程度に比例すると言われていますが、この点からも私たち医療提供者は、医療を受ける側の状況にまで深く知っておく必要があります。

2009年11月 9日

医療崩壊は病院の危機、とりわけ民間中小病院の危機!!(2)

地域医療

今、医療崩壊が集中しているのは、これらの中小病院です。  
  このことについて、国の各種審議会のメンバーはどの程度認識しているのでしょうか? かなり疑わしい気がします。それは、診療報酬体系そのものが、大病院≫診療所>中小病院>有床診療所という形で傾斜配分されているからです。これでは、中小病院を本気で潰(つぶ)そうとしているのか、国の各種審議会のメンバーが現場認識を全く持ち合わせていないか、地域住民のいのちを軽く捉えているのか、としか考えられません。

地域住民・国民のいのちを軽んじている診療報酬体系

(1)平均在院日数短縮化競争
  近年の日本における病院経営は極めて厳しいので、全国の病院経営者は、経営改善のため、すさまじい努力をしました。平均在院日数が14日を切れば褒賞金(加算)がつくからです。
この平均在院日数短縮化競争は、医療現場に日々関わっている医師及び医療従事者に精神的肉体的疲弊をもたらしています。また、医療現場での患者の暴言・暴力は、病棟や外来での患者さんとしっかり向きあった医療提供ができないような環境がその背景にあるのは間違いありません。
1990年代イギリスの元首相サッチャーは医療に経済原理を大幅に導入しました。このイギリスの新自由主義に基づく医療政策は、《ゆりかごから墓場まで》といわれたイギリスのすばらしい医療・福祉を完全に崩壊させました。その結果、2000年前後のイギリスの医師の自殺率は他の専門職の2倍、看護師のそれは 何と4倍に達したといわれています。小泉政権の緊縮財政と、聖域なき構造改革は、まさに日本の医療をサッチャー式医療崩壊の道へと邁進(まいしん)させてしまいました。
因み(ちなみ)に日本病院会に加入していた200床未満の病院の退会理由(2004.4.5.~2009.5./153病院)を調べ ると以下の図のようになっています。

やはり、“聖域なき構造改革”によって中小病院は消えつつあります。
また、2006年から2007年にかけ99床以下の91病院が姿を消しています。

北海道および大分県の入院基本料と届出実態
 
(2)看護基準とりわけ7:1の入院基本料  ~中小病院が消える、、、、~
 表2は、2006年の7:1等の看護師配置基準が導入された折の北海道(2006.9.30)と大分県(2007.1.31) の取得病院分布ですが、13:1以下のかなりの中小病院は、閉鎖あるいは縮小を余儀なくされてきています。
へつぎ病院でも、7:1の改定がなされて間もなく大学病院等より4人の中堅看護師が引き抜かれ現場は大変な混乱に陥りました。様々なセミナーや講習会に参加させ、中堅指導者として育成してきた看護師が一挙に病棟より消えたため、現場は動揺し離職者が次々に出てきました。この中堅クラスの看護師は新人教育の中心メンバーであったので、その後の新採用看護師の指導体制は一挙にくずれてしまいました。最近はやっと落ち着きを取り戻していますが、なお質の向上には、これまで以上に力を要す状況となっています。このように中小病院の看護現場が大変な情況に陥っているのは、へつぎ病院のみならず全国共通の矛盾であると考えられます。大病院は黙っていても看護師が応募してくるので、このような事態は決して起こりません。
 医療面での不均等発展、格差拡大及び混乱をもたらしたのがこの7:1看護基準であることを、大学・大病院・医療審議会に属するいわゆる“有識者”は、しっかり認識して欲しいものです。

2009年10月31日

医療崩壊は病院の危機、とりわけ民間中小病院の危機!!(1)

地域医療

たいまつ6号(09.11.1発行)から・・・・・・・数回に分けて更新します・・・・・・・
 
          地域の医療が崩壊!
       「国民皆保険制度」が危ない!          
     すでに、さまよえる“医療・介護難民”!
 
                 社会医療法人財団 天心堂 
理事長  松本 文六 

 ~ 去る8月30日投票の衆議院選挙で民主党は308議席を確保し、「政権交代」を成し遂げました~ 
  1990年代後半から始まった医療崩壊が小泉政権の医療・福祉・介護の分野に市場経済原理を大幅に導入することによって一挙に進みました。民主党が圧勝したのは一つに医療崩壊への危惧がありました。
 さて、こうして誕生した民主政権では、医療や介護の問題はどのように解決されるのでしょうか?

~厚生労働省は、これまで、時の内閣の政治姿勢に基づいて診療報酬を決めてきました~ 
  改定幅が決ると総額が決っているので担当部署である厚生労働省保険局では、そのパイをどう配分するかに汲汲(きゆうきゆう)とします。
 救急患者のタライまわしなどの報道が喧しく(やかましく)なると、医療本来のあり方よりは、政治家の圧力によって救急等に重点を置きながら、そして、医療界の顔色を窺い(うかがい)ながら、点数配分を決めてきました。
 診療所・医院の診療報酬は、日本医師会(役員は診療所・医院の代表で占められている)の意向を忖度(そんたく)し、大っぴらに圧縮するのを控え、また、救急問題がマスメディアの爼上(そじよう)に載せられますと、すでに多大な税金が投入されている三次医療機関(大病院、救急病院?)に重点的に配分します。それは、諸都市の首長が当落を左右する救急問題で追及されないことをも考えて配分している思われます(役人は、声の大きい関係団体に対してはそれなりに対応するという姿勢が日常的に身についていますから)。

~厚生労働省および政府は、国民目線で「いつでも、どこでも、だれでも安い費用で受けられる医療」を考えてきたでしょうか? 否です!~
  医療費はOECD30カ国中22位、就労医師数27位、、、これが日本の実態です。さらに、政治家の顔色、医師会の顔色、マスコミの報道に振り回され、問題の根幹から目をそらしてきたため、地域では病院が無くなる、医者がいなくなる、看護師がいなくなる、、、、、、、という状況が深刻になるばかりです。

 ~ 医療崩壊は病院の危機、とりわけ民間中小病院の危機なのです ~ 
  地域医療を中軸で担っているのは100~199床病院です。これらの病院の経営状態をみると、100~199床の病院は、日本の全病院8,862病院の内2,725病院で30.7%を占めています(表1)。

更に、199床以下に絞ると6,116病院で全体の69.0%に及んでいます。
 全国各地で地域住民の生活に最も近いところで医療を展開しているのは、199床以下の病院です。

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2009年8月19日

地域住民のいのちと健康をしっかりと守り、より良い医療環境を獲得する医療

地域医療

地域医療研究会全国大会2009in長野~代表世話人挨拶~
          社会医療法人財団 天心堂
              理事長 松 本 文 六

 この度、地域医療研究会全国大会を、地域医療の奉斗故若月俊一先生が日本の地域医療の橋頭堡として築かれました佐久総合病院の主管で、長野市で開催することとなりました。
 地域医療研究会は、1980年に始まりました。全国各地で真摯に地域医療を実践追求しています有志の病医院及び医療従事者が集まり、情報交換と意見交換および交流の場として設けられました。1987年の諏訪中央病院を主管とする地域医療研究会において、改めて今後の研究会の在り方を論議する中で、2年に1回開催することとなりました。1989年ゆきぐに大和病院(新潟県)1991年京都南病院・堀川病院共催(京都市)、1993年天心堂へつぎ病院(大分市)、1995年川崎幸病院(川崎市)、1997年千葉徳洲会病院(船橋市)、1999年諏訪中央病院(長野県茅野市)、2001年弟子屈クリニック(北海道弟子屈町)、2005年白浜はまゆう病院(和歌山県南紀白浜)、2007年あおぞら診療所(千葉県)が主管として開催されてきました。途中の空白期間は、現下の様々な医療及び介護保険領域の問題をシンポジウムなどで広く論議を重ねてまいりました。
 今大会のメインテーマを『地域の再生・地域医療の再生』としました。このフレーズに地域医療研究会の今後の方向性のすべてが集約されています。
 医療崩壊という言葉が、医療関係者以外の口の端にのぼる程に、現在の日本の医療の危機が社会的に大問題となっています。それは、国民皆保険制度解体を政治目的とした小泉政権の始まった2001年4月にさかのぼれます。医療・福祉・介護・教育・保育の領域に、思想的には新自由主義を、そして、方策としては商売・金儲けの手法である市場経済原理を強引に導入しました。小泉政権は、『骨太方針2005』で、2006年度より、5年間に社会保障費の総枠を1兆1千億円圧縮することとし、2005年12月には『医療制度構造改革大綱』を策定し、それによって、2006年4月の診療報酬を、2005年10月と2006年4月には介護報酬を大幅に切り下げました。
この方策は、医療機関への締め付けばかりか患者さんに大幅な負担を強いるものでした。医療機関の財政的締め付けは必然的に地域医療を担っている200床以下の中小病院が対象となりました。大病院を締め付ければ、各地の行政の首長は、強く抵抗するのでやれない、そして診療所に対しては、日本医師会という強力な与党支持団体があるのでやりにくい。このような構造の中で中小病院の締め付けは、診療報酬点数という形で、国民一般には非常に理解できにくい形で行われています。因みに、2008年4月の診療報酬改定の中の入院時医学管理料と入院基本料です。前者は、いくつかの施設基準があり、その一つは年間の全身麻酔患者数が800件以上が必須です。あまりにも要件が厳しく、8000有余の日本の病院の中で、この超“加算”を取得しているのは、この6月1日現在で170余病院でしかありません。後者は看護師数が多いほど点数を高くしています。官公立やブランド大病院は、相対的に看護師の給与が高いため、これらの大病院は看護師争奪戦を大展開し中小病院から多くの看護師を一気に引き抜きました。それでなくとも中小病院は疲弊していましたが、これによって病床規模を結果的には縮小せざるを得ないような経営的には極めて厳しい環境に追いやられました。同じ治療をしても、同一疾患同一状態にある患者さんに関する医療費が病床規模によって大きく格差をつけられています。これは、まさに中小病院潰し以外の何物でもありません。それとともにこのような方策は必然的に医療関係者の間に処遇の格差とそれに伴う意識上の反目を持ち込むことになります。現場はそれによって更に疲弊し、そのつけは最終的には患者さんに及びます。
又、中小病院潰しの一方で、『骨太方針2005』は、医療保険制度そのものの崩壊を開始させています。2008年6月1日現在の、国民健康保険の滞納世帯は全世帯数2172万世帯のうち453世帯(20.9%)に及んでいます。そのうち、資格証明書世帯が34万世帯(1.6%)、短期被保険者証世帯は何と124万世帯(5.7%)に達しています。現在のような、非正規社員の解雇→無所得世帯・個人の増加に伴い、ゆうに1000万人が無保険に追いやられてしまいそうです。
2008年4月に発足した後期高齢者医療制度の中では、何と570万人に及ぶ高齢者が無保険者になる枠組みが作られていました。全国の高齢者の怒りと憤りの中で、国はついに、この制度の下では無保険者は作らないと宣言せざるを得なくなりました(’09.4.22.)。これ以前の老人保健制度では、75才以上の高齢者は保険証返還・資格証交付の対象外にされていました。
このような形で、急激に進行してきている日本の医療保障制度及び地域医療の崩壊に対して、私たちはどうすればいいのでしょうか?
 私は、これまで、地域医療とは、《 地域を基盤として、継続的に展開される全人的かつ包括的な広義な医療 》と定義して来ました。しかし、現下のこのような状況の中では、地域住民のいのちと健康は守れません。地域医療の定義を以下のように改めるべきだと考えました。
 地域医療とは、《 地域住民とともにその地域を基盤として全人的かつ包括的な広義な医療を継続的に提供できるよう社会と政治に対し、積極的に働きかけ、地域住民のいのちと健康をしっかりと守り、より良い医療環境を獲得する医療 》と。
 これからの地域医療研究会は、このような形で、充実・発展させてゆくべきだと考えます。そのためには、私どもが、医療(広義な)に関わる政策を発信し提言ができるようにすべきです。
 本日の大会が、その方向に向けての礎になるべく、この2日間に亘って熱い論議と厚い討論ができることを期待します。

2009年8月 9日

“小泉改革の正体” ~それは皆保険制度の解体~

医療政策

2002年08月01日
    日本病院会雑誌Vol149,No8掲載/2002.8


 6月14日、10月からの本人負担3割を含む健康保険法の“改正”が強行採決された。
 小泉首相の社会保障に関する視座は、経済財政諮問会議、総合規制改革会議及び産業構造審議会新成長政策 部会の意見答申に立脚したもので、とりわけ前二者の影響が大きいと言われている。因みに、それは株式会社の医業参入問題とこの4月からの診療報酬改定の中に鮮明に示されている。

この両者に共通しているのは、
①大都市・大病院中心の医療提供体制へ移行する。
②貧しきものは医療を受けるべきでない。
という思想である。

 今回の診療報酬改定にはこの二つの思想が具体化されている。外科系領域では手術例数と医師の数により、基準症例数に達しない場合には30%減算される。人工関節置換術の場合、整形外科を標榜する5年以上の経験医師が3名以上勤務し、年間50例以上の手術実績がないと、手術手技料が30%減算されるという。大学からの医師派遣が確実に可能な大都市の大病院では100%算定は可能である。大都市では人口が多く、対象患者も相対的に多い。従って経験のある2人の医師がそれぞれに25例ずつすれば50例を超すことは容易である。しかし、地方の病院で熟練した整形外科医が独りで30例の人工関節置換術をしたとしても手術手技料は70%しか支給されないことになる。

 小児科の領域でも同じような施策が認められる。小児科医の数が1~2人、3~4人、5人以上で1日2100、2600、3000点と大幅な格差が設けられている。当へつぎ病院では、昨年の10月まで小児科三人体制であったが、《民間病院には医師を派遣しない》という新教授の一言で急拠一人体制となってしまった。三人体制と一人体制では忙しさも極端に違い、小児科医師は夜間もオンコールに応じざるを得ず、睡眠は著しく削られ疲労困憊の状態に陥っている。小児の急病・救急は、時間を選ばない領域であるために一人体制の病院では医師への負担はきわめて大きい。五人以上の体制であれば、お互い休息をそれなりに取れて、相互の意見交換が常にできる。従って安全対策面でも医師の安心感の度合いは一人体制に比し数倍勝る。このことは、常勤医一人体制の病院の小児科は閉鎖しなさいと通告していることに等しい。

 いずれにせよ、今回の診療報酬改定の基本的視座は、大都市・大病院(多くは公的病院)重視、地方及び中小病院軽視の思想である。アメリカの医療の質・レベルには学ぶべきことも多いが、陰の部分は決して学ぶべきではない。日本においてはむしろこの陰の部分をどうするかの視点で再構築されるべきなのに、厚生労働省の官僚は陰の部分の拡大に手を貸しているとしか私には思えない。 

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2009年8月 7日

医療・福祉・介護の領域について無頓着な政治家?

医療政策

 ~ 団体の定期大会で来賓として挨拶、その挨拶文から抜粋  09.6 ~ 
 
 さて、日本の医療を考える立場より、一言ご挨拶申し上げます。
 医療崩壊、医師不足という言葉がすでに定着しておりますが、その実態については国民には全く見えてきません。医療・福祉・介護領域の問題は、国民にとっては生活基盤と密接に関係するものですが、そのお世話にならない限りその必要性とその重要性を実感することはなかなか難しいようです。とりわけ、政治家は権力闘争に明け暮れ、高度の緊張感のせいか、あまり病気をしません。そのため、医療福祉介護の領域については無頓着です。そのように私どもには思えます。
 現在喫緊の課題とされている問題について、私の意見を述べさせて頂いて、ご挨拶とさせて頂きます。後期高齢者医療制度と資格証明書と無保険の問題、脳死臓器移植の問題に絞って話させて頂きます。

 まず、後期高齢者医療制度の隠された一番の問題は75歳以上の高齢者約1400万人のうち約500万人に及ぶ35%の高齢者が保険証をもてなくなる危険性が制度発足当初よりありました。全国の高齢者の怒りと憤りの声に押されて、最近になって厚労省はやっと「75歳以上の高齢者には資格証明書は発行しない」と言明しました。お年寄りの怒りと選挙の折りの高齢者の高い投票率を考えての言明でしょう。
 昨年6月1日現在の国民健康保険の滞納世帯は全2172世帯の内453万世帯、なんと20.9%に及んでいます。5世帯に1世帯が保険料を滞納しています。その1/3が保険証を持っていません。昨年の派遣切りなどを契機に、その数はもっと増えていると思われます。日本の医療制度はまさに崩壊の危機に瀕しています。オバマ政権はアメリカに皆保険制度を導入したいと言明していますが、アメリカ一辺倒の日本の政治はアメリカ流の新自由主義と市場経済原理を医療福祉介護に導入して日本の医療福祉介護を崩壊の危機に陥らせています。何という皮肉でしょう。
 日本が世界に大いに自慢してもいい医療保険制度をサッサと捨てるような政治に対して、私たちははっきりと袂を分かつべきです。

 

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2009年5月19日

臓器移植法"改悪"に反対する医師からの声明:記者会見(画像)

医療政策

5月15日(金) 厚生労働省内において記者会見しました


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「臓器移植法」について、医師としはC案が適切であるという見解を強く訴えました!!


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斎藤竜太:労住医連議長(左)、山口研一郎:現在医療を考える会代表(右)と松本文六:地域医療研究会代表世話人・社会医療法人財団 天心堂 理事長(中央)の3氏


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2009年5月13日

臓器移植法"改悪"に反対する医師からの声明(3)

医療政策

   ~ 物言えぬ“弱い立場”の人々の意思が抹殺される~

 又、今回の見直し案の中で、最も問題なのは、A案の《脳死を一律に人の死とする》《本人の同意がなくとも家族の同意のみで臓器摘出は可能》《親族への優先提供も認める》《子どもの臓器摘出も0才より認める》という上記現行法の基軸のすべてを否定するという“改悪”案である。
 臓器摘出を子どもも含めて本人の同意がなくても、家族の同意だけで可能とすることは 黙して語れない者の生に対する冒瀆であり暴虐である。
 このような考え方が一般化されれば、重度の神経難病者や植物状態になっている人など、物言えぬ“弱い立場”の人々の意思をすべて家族が代弁できることになる。これは障害者に対する家族による安楽死殺人などにも通じる考えであり、容認することはできない。
 上記長期脳死症例、慢性脳死例などを考えると、脳死を一律に人の死とすることに私たちは強く異議を唱えたい。すでに脳死は人の死であるという考え方は、具体的な医療の場では否定されてきている。身体の統合性は、身体の諸臓器諸組織諸細胞の相互作用に由来するものであって脳が身体の統合性のすべてを担っているわけではない。
 以上、私どもはA案は明白な“改悪”案であり決して容認することはできない。又、上記理由により臓器摘出の現行15才を下げるA,B,D案にも同意することはできない。私どもはC案を支持する。
私どもは医師としての視点から以上声明する。
            
呼びかけ人
松本文六(地域医療研究会 代表世話人/社会医療法人財団天心堂 理事長)
斎藤竜太(労働者住民医療機関連絡会議 議長/十条通り医院 院長)
山口研一郎(現代医療を考える会 代表/やまぐちクリニック院長)