薬剤師の不安

調剤ミスについて

調剤薬局などに勤め、医師から発行された処方箋にしたがって調剤・処方を行うということは薬剤師が求められる主たる業務の一つです。 調剤薬局勤務の薬剤師に対する求人は日々出され続けており、薬科大学などを卒業した新社会人が、まずはこの調剤薬局求人での雇用を目指すというような姿も良く見られるようになりました。 しかしこの求人を見る際、忘れてはならないこととなるのが「薬剤師は人の健康に直接かかわる仕事をしている」ということです。

医師のようにメスを握ったりすることはありませんが、人の体に対して何らかの影響を及ぼす「医薬品」を扱う職業である以上、時として人の生命すら左右することになりえるのです。 そうした場所で働いていく以上、薬剤師には非常に大きな責任が求められることとなります。その薬剤師としての責任を果たしていく中で、最も恐れられているのが「調剤ミス」という存在です。 医師からの処方箋を読み違えてしまったり、医師から特別な指示が出ていたにもかかわらず薬剤師が勝手な判断をして患者の健康を阻害してしまったりといったような自体がこれに当たります。

では薬剤師が調剤ミスを起こしてしまったというような場合には何が起こるのでしょうか。

この「調剤ミスを起こした薬剤師に何が起こるのか」ということを考える上で最初に確認しなくてはならないこととなるのが「そのミスによって誰かの健康が阻害されたかどうか」ということです。 もし調剤ミスが発生してしまったとしても、その医薬品を服用した患者に全く影響がなかったというのであれば、それが原因で何らかの処分が出るというようなことはほとんどありません。 多少の健康被害、例えば「直接の因果関係は見えないものの患者が体調不良を訴えているため、関連性が疑われる」などの場合は、警察の介入によって操作が行われることとなります。 この場合でも基本的には起訴猶予処分程度で終わることが多く、そこまで重い処分が下されることはありません。

問題となるのは「明らかに因果関係が立証できる健康被害が発生した」という場合です。2011年には75歳の女性に対して処方された医薬品に調剤ミスがあり、それが原因で女性が命を落とすという痛ましいミスがありました。 この調剤を担当した薬剤師二人は「業務上過失致死容疑」として書類送検され、その薬剤師を雇用していた経営者も「業務上過失傷害容疑」として書類送検を受けることとなったのです。 事件を担当した県警は捜査の結果「調剤ミスは事前に発覚していたが、その連絡を怠ったことで患者が死亡した」と結論付けています。
つまり薬剤師は機械的に薬を作るのではなく、適宜の判断と、ミスが生じた際の細かな対応が求められる責任ある職業であるといえます。そうした業界の求人に応募をするというような際には、 自身がこれから「人の命を左右する職業に就く」ということを肝に銘じなくてはならないのです。