| 2007年11月24日 混合診療解禁には全面的に反対します 2007年11月7日、東京地方裁判所で『混合診療に際し、保険内診療を全額自己負担させるという法律的根拠はない。』旨の判決が出されました。 “混合診療”とは、保険収載の医療と保険未収載医療の併用をいい、これらを併用した場合、それらの費用は全額自己負担になるという医療保険制度上の約束事です。今回の裁判の原告は神奈川県在住の腎臓癌のKN氏。KN氏は左腎臓摘出手術を受けた後保険適用のインターフェロン療法を受けていましたが、その過程で骨転移が判明し、主治医から《活性化自己リンパ球移入療法》を薦められました。しかしながら、その場合には混合診療になるので全額自己負担になることを知らされ、弁護士の手が借りられず、独りで訴訟を起こしたといいます。 そもそも、この混合診療問題は、2003年に小泉政権の総合規制改革会議の席上で《混合診療は何故解禁できないのか。法律の根拠はどこにあるのか。》という発言から始まり、規制改革・民間開放推進会議へと拡大され、2004年には医療界で大変な問題となりました。とりわけ、小泉政権の“聖域なき構造改革”は、社会保障の財源を大幅に削減することにより、日本の医療保障制度をアメリカの民間医療保険優位の方向に誘導し、国民皆保険制度解体を目標にしており、その突破口が、この《混合診療全面解禁》と位置づけられていたことを私たちはあらため想起し直す必要があります。 実は、《混合診療全面解禁》と《株式会社の医療業参入》の問題は、アメリカ政府から『医療サービスについての2003年度の米側関心事項』として、“年次改革要望書”の中で強く要請されていました。これは、日本の国民皆保険制度を実質的に解体し、アメリカの生命保険会社が日本の民間医療保険領域を“占領”することを目的にしたものでした。因(ちな)みに、1996年にアメリカは、対日“年次改革要望書”で、《がん保険、医療保険、障害保険の三つの商品に関しては、日本の大手生命保険会社は、2001年までの4年間日本での取り扱いを禁止又は大幅に制限する》事を要求し、日米両政府はこれに合意しています。その結果、日本の中小生命保険会社8社が、2000年前後にアメリカを始めとする外国資本に買収されています。 この混合診療問題は、2004年12月に、一応の決着を見て、1984年の法改正により始まった“特定療養費制度”を廃止し、新たに“保険導入検討医療(仮称)”と“患者選択同意医療(仮称)”を設けて再出発することとなり、2006年には現在の“保険外併用療養費”としての“評価療養”と“選定療養”という形に衣替えしました。 混合診療の解禁に関しては、地域医療研究会として、“評価療養”に向けての審査の迅速性に尚問題があることを認識しつつも、混合診療の解禁には全面的に反対します。その理由は以下の2点です。 (1)くすりと技術の有効性と安全性が担保されずに患者に適用されることを未然に防ぐ必要がある。 (2)保険未収載医療を無原則に認めれば、患者にとっては、過去に見られたような営利的名目の費用が過大となり、医療の公平性や公正性が担保されなくなる。すなわち、所得や地域、年齢によって受けられる医療に大きな格差が生じることになる。 地域医療研究会は上記の理由から、日本の国民皆保険制度を堅持するために、その解体を狙う《混合診療解禁》に全面的に反対することをここに改めて声明します。 |